企業インタビューシリーズ第3弾:株式会社リヴァンプ 千田 勇一様

株式会社リヴァンプ

2003年 株式会社ファーストリテイリングの元副社長、澤田貴司氏が、株式会社リヴァンプ前身となる「KIAKON」を創業

2005年 澤田氏、ファーストリテイリング社長玉塚氏が、株式会社リヴァンプを南青山にて設立株式会社

2016年 現社長の湯浅智之氏が社長に就任

2024年 フューチャー株式会社との経営統合を実施

 

千田 勇一(チダ ユウイチ)

2006年ゴールドマン・サックス証券入社。投資銀行部門にて資金調達、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資案件に従事。
2009年リヴァンプ入社後は主に小売、飲食、サービス、インターネット業界において、経営戦略立案、全社企業価値向上支援、マーケティング改革、ブランディング等のプロジェクトに従事。

 

聞き手:中村 啓(なかむら ひらく)

EPIC PARTNERS東京オフィス東京オフィス代表

 

 

千田様のキャリアについて

 

中村:

本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。

まずは千田様の簡単なご経歴からお願いできますでしょうか。

 

千田様:

私は2006年に、新卒でゴールドマンサックスの投資銀行部門に入社し、約3年勤務しました。そこではM&Aのアドバイザリー、財務アドバイザリーなどの経験を積むほか、プリンシパルインベストメントの業務のお手伝いも行っておりました。クライアントは、テクノロジー、メディア、テレコムの業界を担当していました。その後、2009年からリヴァンプに入社し、14年勤務しています。

 

中村:

リヴァンプ様にご転職された当時はどのようなご経緯で移られたのでしょうか。

 

千田様:

単純に、リヴァンプのビジネスに興味を持った、ということですね。新卒でゴールドマンサックスに入った理由も同様で、就活でゴールドマンサックスの社員の方から話を聞いているうちに興味を惹かれ、一回勤めてみたいな、というくらいの気持ちで入社しました。金融の仕事自体は非常に楽しかったのですが、勤務している間も「一生の仕事になるかどうかは分からないな」と思いながら働いていました。また、自分の中でもう少しクライアントの内部へ入って行き、ハンズオンでサポートをするような仕事をしたいという思いを強く持つようになりました。その時に澤田貴司さん(元ファーストリテイリング様取締役副社長/リヴァンプ様創業者、ファミリーマート顧問/セルソース代表取締役社長CEO)を紹介してもらって、一緒にやろうと思った、という経緯ですね。

 

中村:

その他の選択肢、例えば事業会社への転職なども考えられていたのでしょうか。

 

千田様:

今考えれば事業会社の選択肢もあったと思いますが、当時は事業会社の中のことがあまり分からなくて、その選択肢を見出せなかった、というのが正直なところですね。

それから当時で言うと、実はコンサルティングファームには行きたくないと思っていたんですよ(笑)。新卒の就活時にコンサルティングファームも受けていたのですが、その時に「コンサルティングファームは合わないな」と思って選択肢から消していたという経緯がありました。なので、その後の転職でもコンサルティングファームは考えていませんでした。

そういった状況でもリヴァンプを選んだ決め手は大きく2つです。

1つ目の理由として、強烈に印象に残っているのが、澤田貴司さん、玉塚元一さん(元ファーストリテイリング様代表取締役社長兼COO/リヴァンプ様創業者、現ロッテホールディングス代表取締役社長)と会って、その席で「明日から来い!」と言われたことですね。前職のゴールドマンサックスでは、クライアントは金融大企業の財務/経営企画の方・弁護士・会計士などのプロフェッショナルの方々とのやり取りが多かったのですが、そのような方々にはない勢いとスピード感を感じました。事業をやっている人ってこういう雰囲気なのか、という衝撃があって、一緒に働きたいと強く思ったのが一つ目の理由です。

2つ目の理由は、当時はリヴァンプのビジネスモデルをどこまで聞いても内容がよく分からなかったことですね(笑)。聞いても聞いてもよくわからなくて、これは実際に見てみるしかない、と思いました。「企業を芯から元気にする」というキャッチフレーズを掲げていて、話している内容は分かるのですが、実際にどのようなことをやっているのかがわからずそこにすごく興味が湧きました

 

 

 

リヴァンプ様のビジネスについて

中村:

なるほど、とても面白い理由ですね。

実際に14年間に渡りリヴァンプ様のビジネスを見られた結果、どのような印象をお持ちでしょうか。

 

千田様:

私が入社した当初は「クライアント元気にさせるには、まずは自分たちが元気に」ということで、物理的に元気を出していました。(笑)リヴァンプの前身の会社は、「キアコン(気合と根性の略)」という会社名で玉塚さんらが、会議の前に円陣を組んで気合を入れる、ということをやっていた時代がありました。その後湯浅(現リヴァンプ様の代表、アクセンチュア様出身)が経営を見るようになって、そこにコンサルティングファームが持つ「経営の技術」を組み込み、再現性を持った経営支援のノウハウを整備していったという流れです。

 

中村:

澤田様、玉塚様という事業家が創業されたファーム、というところが、リヴァンプ様の非常に特徴的な部分だと感じています。まずは事業家としてのDNAがベースにあって、その上にコンサルティングファームの方法論が構築されている、というイメージでしょうか。

 

千田様:

そうですね。リヴァンプには業態へのこだわりがなく、サービスラインが非常に多岐に渡っているので、動き方としては総合商社に近いと感じています。ただ、総合商社がネットワークと資本をレバレッジしているとすれば、リヴァンプにはそれがなく、代わりに経営知見とファイナンスをレバレッジしています。アドバイザリーサービスを提供しているという感覚ではなく、商売のタネを提供しつつ、商売の実務まで一緒に並走しているつもりで仕事をしています。

 

また、従来のコンサルティングファームとも大きく違っています。基本的にリヴァンプではアドバイザリーサービスよりは事業を実行しているという時間が長いですね。

「キアコン」から「リヴァンプ」になるタイミングでやっていた事業が、アイス屋の「コールドストーン」や、ドーナツ屋の「クリスピークリームドーナツ」などでした。元々はコンサルティングよりも事業の比率が高い会社で以前は子会社を156社持っている時もありました。今では23社に減って結果的にコンサルティングサービスの割合が増えていますが、歴史的にはコンサルティングよりも事業の方に軸足があって、現在までやって来ています。なので、いわゆる典型的なコンサルティングファームとはビジネスモデルが全く違っていますね。

具体的には、例えば56年前にタピオカミルクティーの「貢茶(ゴンチャ)」を担当し、日本での会社立ち上げから50店舗までの拡大のお手伝いをした際には、単にアドバイスやレポート作成を行うというコンサルテーションにとどまらず、どの物流業を使うか、店舗の展開でどのディベロッパーを使うか、などの実務的な部分も我々が担当しました。それができたのも、ドーナツ屋でお世話になった配送業者、昔関わりがあったディベロッパーなど、事業に軸足を置いてきたリヴァンプならではのネットワークを利用できたからです。

一般的なコンサルティングファームでは、「どのソリューションを売るのか」という発想から案件がスタートします。リヴァンプでは、企業様のより深層に入り込んでご支援をしているので、「この企業にはどんなソリューションが必要なのか」という発想で考えて行きます。

 

中村

貴社ではクライアントの要望に応じて本当に幅広いサービスを提供されていますよね。

 

千田様

リヴァンプのチーム編成として、「マーケティング」「IT」「ファイナンス」の3つを揃えています。逆に言うと、この3つのサービスを自社で確立できないと、クライアントの改革もうまくいかないです。

例えばマーケティングについてマーケティングの戦略を描くことができても、その戦略を実行に移した時に、認知を取れるプロモーション施策を具体的にどうするか、というノウハウがなければ、マーケティング戦略は実現しません。実は具体的な施策についてはコンサルティングファームの人たちはあまりサポートしてくれない場合も多いです。しかし、リヴァンプでは自社で年間20本ぐらいCMを作っていますので、我々の方で施策の実行まで出来ますよ、という話ができます。ただし、CMで儲けようとしているということではなく、クライアントが事業をやる上でCMを作れるノウハウが必要で、さらに外部に委託するより自分たちでハンドリングした方が早くて安くてうまくいくということから、リヴァンプ社内でCMを作れる技術を保有している、ということです。

 

次にITですね。現在多くのコンサルティングの案件でITが主流になりつつあり、私のチームにもITに強みを持つメンバーもいますが、そちらもクライアントの変革に必要なITのシステムを実装できる社内の部隊、という位置付けにしており、ITの大型システム構築で稼ごう、などの思いは微塵もありません。というのも、クライアントにリヴァンプのエクイティが入っている場合もあるので、リヴァンプがシステムで儲けてしまうと、クライアントの利益が減り、株価も下がり、利益相反になってしまうからです。リヴァンプがクライアントを支援することで、企業価値が上が、リヴァンプにもリターンがある、というような構造にして、サービスの提供の軸がブレないようにしています。

 

中村

非常にユニークなサービスを提供されていますね。

リヴァンプ様では投資部門も展開されていますよね。

 

千田様:

一時は投資ファンドも持っていました。この形態だともはや商社とほぼ変わらないですね。

一方で、ファンドはエクイティのリターンを限られた期間で返さなければいけないという縛りが出てきますので、クライアントの要望にフィットしないことが多いという課題がありました。今はプリンシパルインベストメントという形にしており、クライアントの株式の数%を持っているという案件も多いです。

 

 

サービスの根底にある思いについて

 

中村:

「クライアント様の目線に立つ」ということをものすごく徹底されていますね。

お話をお伺いしている中で、「目の前のクライアント様をどう元気にするか」を突き詰めて行った結果、今の形態になっていらっしゃるのかなと感じています。

反対の見方として、将来的に自社をどう成長させたい、ですとか、どのような世界観を作りたい、などのビジョンがあり、逆算的に事業を展開されていたりもするのでしょうか。

 

千田様:

中長期的なビジョンが全くないわけではないですが、それよりも目の前の実績を積み上げることで、結果的に領域を広げて行っています。実際に我々が担当できる業界や、海外も含めた地域、あるいは官公庁や地方自治体など、サービスを展開できる領域は増えていますし、今後も増えていくと良いなと思っています。中長期的な目標を持つ意味がないとは言わないですが、それを設定すると、リヴァンプとしてその目標に合わせたビジネス展開が必要になり、クライアントのためのサービス提供を徹底できなくなる懸念が出てきます。それは本末転倒なので、避けるべきだと思っています。また、基本的には社内のメンバーがリヴァンプの資産であり、成長するスピードとともに事業を拡大したいと思っています。

 

中村:

それでは、リヴァンプ様のメンバーの方々は具体的に何をクライアントに提供をされているのでしょうか。

 

千田様:

創業以来変わっていないのは、「経営力」という考え方です。「良い経営者が経営すると会社が良くなる」ということを、創業者の澤田さん、玉塚さんが、ファーストリテイリング会長の柳井さんの横で実際に体験しています。もちろん、何の事業をやるか、どういう成長市場にいるかなども大事ですが、それ以前に「良い経営者が経営すると会社が良くなる」、つまりもっとうまく経営すれば輝ける会社というのは、中小企業から大企業まで、日本にはたくさんあります。

 

中村:

なるほど。「経営力」という言葉は非常に特徴的ですね。「経営力」の要素をもう少し細分化すると、どのような要素になるのでしょうか。

 

千田様:

「経営力」の育成には「学び」と「実践」が必要です。まずは「学び」ですが、国語、算数、理科、社会のような科目がビジネスにもあり、それを11個押さえないといけません。次いで「実践」で何度も練習を行います。ただ日本で実践ができる場所は限られています。例えば日本の大企業では30年にも渡る昇進争いに勝って、3年間社長をやってキャリアを終える、というケースが非常に多いです。欧米では自分が経営人材で生きていくとなったら30歳から30年以上経営を行うので、試合数、場数が全く違います。また、経営者をどう育成するかという仕組みは、欧米では社会のシステムとして整備されていますし、それゆえ色々な国の人が経営者を目指して学びにやってきます。日本では欧米に比べてそのようなシステムが整っておらず、「経営力」の不在によって輝けてない会社がたくさんあります。我々がその経営力育成の機能を代替することによって、会社にもっと輝いていただく。そうするとその会社の社員の方々も元気になりますし、ひいては社会全体が活性化していくと考えています。リヴァンプがそのような役割を担えるようになったらいいなと思っています。

 

中村:

そうすると、インタビューの冒頭で、千田様が14年間確認をされてきたリヴァンプ様の特色、一言で言うと「経営力」となりますでしょうか。

 

千田様:

そうですね。「経営力」を軸にご支援をして、企業を芯から元気にするということを、ずっとやっています。

補足をすると、私の考えですが、日本の企業経営の歴史は、戦後のスタープレーヤーが引っ張ってきた歴史であり、その世代交代が今起きているのではないかと思っています。事業承継という意味でも、DXなどの社会の変化という文脈においても、本当に「経営力」が試されるタイミングが今来ています。今の日本は実践を積んだ若い経営者が育ってきていない状況なので、我々は会社としてそこを埋めに行きたいということを思っています。

ただ、決して上の世代を追い出す、革命を促す、という意味ではなく、若い世代が「安心してください。自分たちでも経営できますよ。」と言える状態を作るということです。今の日本でも既存の事業で良いものはたくさんあるので、それをもう一回正しく磨いたらさらに良くなるのではないか、という考え方が、我々の立っているポジションですね。

 

中村:

確かに御社のクライアント様は、先ほどの「貢茶ゴンチャ」様もそうですし、HPに掲載されている「カメラのキタムラ」ですとか、従来型のBtoCビジネスも多いですね。

 

千田様:

社会の変化に大きく依存するのは、BtoCビジネスの特徴ですね。また経営者の考え方が変わるだけで会社そのものがガラッと変わるのもBtoCならではです。

 

 

社風について

 

中村:

リヴァンプ様はどのような社風なのでしょうか。

 

千田様:

他社と比べ年齢層が若く、また取締役やマネージャーとの距離感いので、業務指導やディスカッションも行いやすい雰囲気です。そのため、メンバー同士、一緒に組織を作ってきた仲間という意識が強いと思っています。

また、当事者意識を持って仕事をする方にどんどん仕事を任せる文化です。そのような積極的な人材が裁量を得て、そのまま自分のキャリアにでき、仕事の成果が個人の名前でクライアントにも社内にも認知されやすい、という点も特徴ですね。

 

中村:

御社は営業ノルマがないとお伺いしておりますが、これは本当でしょうか。

 

千田様:

リヴァンプの仕事の受注の95分が紹介です。そのため、営業のノルマを設ける必要がありません。我々が提供しているサービスがユニークであれば、それを評価してくださるお客様からお声を掛けていただけるはずなので、そのように徹底しようと考え、実行しています。

リヴァンプの収益を上げろという意味でのノルマは設定していないですが、担当している事業のパフォーマンスを良くしなさいというノルマはあります。「いかに意味のある経営変革をできたか」が評価指標です。その結果が出せれば、個人としても会社としても、必ず次に繋がっていくと考えています。

 

 

採用について

 

中村:

採用についてもぜひお聞きしたいなと思っています。

まずは、どのような人材を求めていらっしゃいますか?

 

千田様:

一番求めいる人材は、この仕事に興味を持っていただけて、自身でも色々なことに好奇心を持って、経営のスキルを身につけてみたい、と思っていただける方ですね。

私もこの5年ほど、一通りの大手のコンサルティングファーム様とお仕事をさせていただく機会がありました。その中でもリヴァンプはやはりユニークで、自分の目から見てもリヴァンプと同じようなビジネスをしているコンサルティングファームは他にはない、と思っています。

に求める人材は、自発的に仮説を持って動ける人ですね。リヴァンプ社内では、「この状況においては、こういう経営改革をすると会社をうまくいく」など、従来にない新しい説を唱えた人が一番評価される、という文化があります。

 

また、どのような能力を求めるのか、という部分についてですが、会社に起こる全てを司っているのが経営なので、経営支援が一つの能力で足りるということもなければ、反対にいずれかのバックグラウンドがあれば経営に繋がっているということでもあります。採用している人の中には、コンサルティングファームや投資銀行出身者もいますし、商社・会計士・広告代理店など様々なバックグラウンドの人がいます。どの能力も経営支援に当てはまりますし、一方でそれだけでは完結しないので、是非リヴァンプに入って、ご自身の能力を武器に、他の能力を身に付けていっていただきたいと思っています。また、未経験領域のチャレンジを歓迎する雰囲気もあり、例えば会計に強い方がマーケティング領域に挑戦する、経営支援の担当者がスタートアップ投資も兼務する、なども大いにしていただけます。現在の状況を鑑みますと、比較的フィットしやすいのは、2435歳のコンサルティングファームご出身の方ではありますね。

なお、面接では、経営理念である「企業を芯から元気にする」の中の、「芯から」の本質追求をご一緒出来るか、という面を中心に見させていただいています。

 

 

中村:

ありがとうございます。最後に候補者様にメッセージをお願いいたします。

 

千田様:

繰り返しになりますが、「本当の経営」に興味がある人とお会いさせていただきたいです。先ほどの経営力の話でも言及した「経営を実践する場所」はものすごく大切です。そういう意味で経営の実践経験を積みたい人に対しては、機会を提供することができると思います。

 

中村

本日はリヴァンプ様のユニークさについて幅広くお伺いすることができました。

貴重なお話をありがとうございました。

 

 

【補足】 ※2023/10/31時点

  • 社員数:303名(男性229名、女性74名)
  • 役職及び平均年齢:アソシエイト8歳、シニア・アソシエイト34.9歳、マネージャー36.4歳、シニア・マネージャー41.7歳、プリンシパル41
  • 新卒と中途の割合:新卒2割:中途8
  • 転職者のご経歴:投資銀行、その他金融系、コンサル、監査法人、SIerIT系事業会社、広告代理店 等
  • 入社後の教育・研修体制:研修体制はほぼ社内で内製化しており、時々クライアント先の方をお呼びして講演会を行うこともある。
  • 入社後の研修例:
    • 財務モデリング研修
    • 次世代リーダー向け研修(各チーム選抜制で実施。リヴァンプ事例を各PJメンバーから直接学ぶ超実践型研修)
    • マネージャー研修(マネジメント・PM管理などのリーダー研修)
  • 考課の頻度:原則年に1回(活躍している方で年に2回昇進するコンサルタントもいる)