プライベートエクイティ(PE)業界について

PEファンドとは?

PEファンドとはベンチャーキャピタル、バイアウトファンドを初めとする投資ファンドのことを言う。
投資家から資金を募り、主に未上場企業(もしくは事業)への投資を行い、企業の成長または再生を支援し、企業価値を向上させた上で投資資金を回収する。

PEファンドは、投資家からのコミットメント金額に応じ、管理報酬を得ることにより運営を行う。
また、投資利益の実現によってキャリードインタレスト(投資ファンドが得る成功報酬)を受け取る。

 

PEファンド 4つの種類

PEファンドは投資対象の企業で大別すると以下の4種類に分けられる。

 

 

その他に、メザニン・グロースキャピタル・PIPEs等の投資を行うPEファンドもある。
近年はPEファンドの中ではバイアウトファンドが台頭しており、多数のプレイヤーが存在している。

 

 

① ベンチャーキャピタル

投資対象 創業・成長期の企業へマイノリティ出資を行う
一件あたりの投資額 数千万円〜数億円規模
主なEXIT方法 IPO/トレードセールス

 

② バイアウトファンド

投資対象 1. 成熟期の企業にマジョリティ出資を行う
2. 経営権を取得し役員派遣を通じて中長期的な企業価値向上を行う
一件あたりの投資額 数千万円〜1000億円超えまで様々
主なEXIT方法 IPO/M&A

 

③ 再生ファンド

投資対象 経営不振・破綻寸前の企業へ出資・債券の買取での投資
一件あたりの投資額 数千万円〜1000億円超えまで様々
主なEXIT方法 M&A

 

④ ディストレストファンド

投資対象 破綻企業・破綻懸念のある企業へ返済優位性が高い再建を中心に投資を行う
一件あたりの投資額 数千万円〜1000億円超えまで様々
主なEXIT方法 投資先のリストラクチャリングを実施して債権回収を行う

 

PEファンドの歴史

2000年代半ばからは、新規ファンドの設立も増え、J-STAR/ヴァリアント・パートナーズ等の独立系PEファンドも数多く立ち上がった。
また、ベインキャピタル/ペルミラ・アドバイザーズなどの外資系PEファンドも日本へ進出した。
リーマンショック以降は多くの外資系・商社系・独立系ファンドなどが撤退や事業継続不可能となりましたが、2010年を底に回復傾向にある。

主な業界のプレイヤー

■バイアウトファンド(順不同)
▼外資系
・カーライル・グループ
・TPGキャピタル
・ベインキャピタル・ジャパン
・KKR Japan Limited
・CVC Asia Pacific(Japan)
・ペルミラ・アドバイザーズ
・シティック・キャピタル・
パートナーズ・ジャパン・リミテッド
・MBKパートナーズ
・ロングリーチグループ
・CLSAキャピタルパートナーズ

 

▼国内金融機関系/商社系
・アント・キャピタル・パートナーズ
・アイ・シグマ・キャピタル
・ACA
・東京海上キャピタル
・丸の内キャピタル
・ライジング・ジャパン・エクイティ
・ジャパン・インダストリアル・ソリュージョンズ
・ポラリス・キャピタル・グループ
・三井物産企業投資

 

▼国内独立系
・アドバンテッジパートナーズ
・ユニゾン・キャピタル
・インテグラル
・キャス・キャピタル
・日本みらいキャピタル
・J-STAR
・日本産業パートナーズ
・ジェイ・ウィル・パートナーズ
・ニューホライズンキャピタル

バイアウトファンドの仕事内容

【1】ファンドの組成

各投資家より資金を集めるために、ファンドコンセプトの周知、チームの紹介等を行う。
銀行・信託銀行・生命保険会社・損害保険会社・証券会社・年金等の機関投資家の他に、事業会社や個人富裕層から資金を集めるファンドもある

●投資対象(業界・対象企業のサイズ・投資手法)の決定
●機関投資家、その他投資家への営業活動
●契約書の作成、調印等のクロージング

【2】投資案件開拓

投資案件開拓は、大きく分けて2パターン
(1)投資銀行・FAS・ブティック・M&A案件等から持ち込まれるオークション案件に参加
(2)エクスクルーシブ案件として、ファンドの親会社やシニアメンバー等のコネクションからの案件の開拓、及び投資対象を自ら選定し、株式売却の提案を仕掛ける

●投資業界または投資テーマの策定
●投資対象企業のスクリーニング/簡易評価
●投資対象へのアプローチ
●ファイナンスアレンジャーへのコンタクト

【3】投資先評価

投資案件及びファイナンスアレンジャーの目処がつくと、買収実行へのプロセスを進める

●事業計画の分析
●将来予測の策定
●投資ストラクチャーの構築

【4】買収実行

投資先の評価及び、投資先企業との基本合意を取り付けることができると投資の実行フェーズに入る。
投資銀行・弁護士事務所・監査法人・FAS・戦略/人事コンサルティングファーム等と連携し、買収プロセスを進める。

●基本合意書の作成・締結
●財務・ビジネス・人事・法務のデューデリジェンス
●投資後のインテグレーションプラン策定(100日プラン等)
●売り手との交渉
●ファイナンスのアレンジ
●投資委員会からの合意取得
●投資実行

 

【5】バリューアップ・モニタリング

投資実行が決まると、投資先企業のバリューアップ及びモニタリング業務を行う。
常勤の役員としてファンドメンバーが入るケースや社外取締役として取締役会への出席のみを行う等、バイアウトファンドにより、経営への関与度合いは差がある。

●経営計画の策定
●各種リストラチャリング業務
●新規事業立ち上げ・M&A支援・人材採用等の実行支援
●KPIの策定とCFOからのレポーティング/取締役会への出席等を通じたモニタリング

【6】EXIT

投資先企業のバリューアップが終了すると、投資資金の回収へ入る。
投資利益の最大化が前提ですが、投資先企業と売却先のシナジー等も勘案し、適切な売却先を選定する。

●EXIT戦略の立案
●M&A・IPOの実行

タイトル(役職)構成と役割

下記の4階層から成るファンドが多い。

(各ファンドにより、タイトル(役職)の構成が異なる)


 

【MD/マネージングディレクター】
MDはファンド全体のパフォーマンスに責任を負う・GPとして出資を伴うケースも見られる

 

【ディレクター】
ディレクターは各案件の責任者として、投資先企業との交渉・バリューアップ責任を負い、プロジェクトを遂行する
また、投資案件開拓も大きなミッションとなる

 

【VP/ヴァイスプレジデント】
VPは各フェーズの実行責任者として、プロジェクトをコントロールする
アソシエイトへの指示出し、外部プロフェッショナルファームのコントロールを行う

 

【アソシエイト】
アソシエイトは、各フェーズでの実行のメインプレイヤーとして業務を行う
各種分析業務・資料の作成・ロジの手配等を外部のプロフェッショナルファームを巻き込み行う
ファンドによってはアソシエイトクラスから投資先企業の経営者との交渉等も行える場合がある