『コミュニティ交通に関する考察』青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

コミュニティ交通に関する考察(概要)

1.新たなコミュニティ交通の必要性について
 近年、過疎などにより公共交通機関が不採算により運営が不可能になり、民営から第3セクター、公営サービスと移行し自治体の赤字要因となっており、より住民主体で共助の運営可能な公共交通機関への移行が模索されている。また、継続するラスト1マイルの移動ツールの問題、完成症予防によるプライベート移動への傾向発生は、より簡便なモビリティの需要と、シェアリングによる分割所有でありながらオンタイム需要にへの対応を必要としている。

2.多様なコミュニティ交通システムの選択肢
(1)小型低負担個人所有車両
①超小型モビリティの個人所有
自動車の個人所有が減少している。その理由としては購入、維持、免許取得にかなりの経費負担が生じるからと言われている。また、単身世帯が増加し、家族で移動することに有利である所有車の意義が低下したことによる。
そこで、特区により、重要性の低い行動範囲、登場人数、速度、高速道路走行を生源することにより、車両の強度、安全性実証などの免除規定による価格抑制と車両軽量化、出力抑制による電池消耗の極限化と家庭電源による充電機能などにより、購入費や維持費を低下させる、取り扱いや整備、製造の簡便化が図れる。また低速やワンペダルなどの操作性の簡易化により、高齢者自家用車の乗り換えにより、操縦技量や危険性認知の低下を補填することができ、交通事故の抑制になる。
②電動キックボードなど「パーソナルモビリティ(小型特殊車両)」の個人所有
超小型モビリティより更に簡便化できる方策として、最高速度を20km/h未満に制限することで、電動キックボードを現在の原付1種ではなく取得時や更新時に実技講習のない小型特殊で登録し、保安装備免除車両とすることで安価な輸入製品の走行が可能になり、室内に持ち込め100Vの家庭用屋内コンセントで充電ができ、これによって免許保有と車両保有の負担が激減する。
また、パーソナルモビリティの小型軽量という利点は、乗用時以外は分解、収納などの手間無しに携行移動できることになり、公共交通機関との連携利用が可能になる。

(2)公共交通機関
①地域DMOの活用による自家用有償旅客運送の実施
コミュニティ交通についての理想は公共交通機関であることは間違いないが、その、車両や管理整備施設喉のインフラ投資、人的資源自費などを過疎地自治体では維持できなくなっている。
また、国土交通省及び官公庁は旅客輸送の利便性を、「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準について」に示される保有資金、管理、施設基準を回避する事ができ、より経済的な旅客輸送により高めて、それにより観光地などの地域資源の活用を推進している。
特に管理事務所や整備場、運転者の2種免許の回避は経済的に有効であり、これをコミュニティー交通の維持に活用することが有効であると言われている。
②グリーンスローモビリティによる乗り合い運行
より狭い地域において、より交通機関が確保が困難な地域に対して、国土交通省はグリーンスローモビリティ事業によって問題解決を提案している。これは電動ゴルフカート形態で20km/h未満、開放型の4名から16名までを想定し、それにより低CO2、高齢者運転であっても安全運行確保、狭あい道路運行可能などの利点により、近隣への買い物や通院、長距離交通機関への接続などの需要に対応できる。

(3)市民共助システム
①uber特区による個人間契約
日本においてuberは旅客運送法に適合しないために、既存のタクシー会社の配車システムとしてしか運用されていない。これを過疎化によるタクシー会社が廃業した地域を特区として限定uber営業地域の指定を検討している。地域の自動車所有者がuber登録することによって共助によりライドシェア交通システムが確保できる。
②自治体内指定個人間契約
uberのような不特定個人間の共助では、需要の集中、需要と供給のアンバランスにより、自動車が確保できない場合がある。これを回避するためには、高齢者と自動車所有車を多対多でゆるく固定し、事前に調整が可能で、運転者と利用者の顔が見えるライドシェアを構築する試みもある。

(4)カーシェアリングサービス
自動車の利用時間の限定性と所有の負担感により自家用車の減少は郊外の利便性の低下をもたらしている。これを解決するための手段として、自動車使用時間を複数の使用者で分け合い、効率を上げる共同所有、共同使用であるカーシェアリングが最初に可能性として考えられる。使用環境は多様であり、ワゴン、軽自動車、軽EV、超小型モビリティ、パーソナルモビリティなど適切に選択することが重要であり、必要な自動車台数の分析や運行掌握や給油、充電管理などのソフトウエアの充実が重要である。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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